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へのへの!

henoheno(ハワイ語)=かわいい=霧矢大夢さんと日々のあれこれ

「ダニー・オーシャン」兼「香取慎吾」――梅田芸術劇場『オーシャンズ11』(11月1日夜公演)その2

ダニーは、香取さんは、スターだった……!

 

いやもう、日本中の人が知ってると思うけど。

香取さんってなにしろSMAPだからね、泣く子も全員ピタリと黙る、それはもうタケモトピアノ流したかってくらい黙るスターなんだけど。

 

そのことをもっとも感じた場面。

 

 

2幕、「愛した日々に偽りはない」の1番で、舞台中央から下手に移動し、少し下手寄りに体を振って、片手をふわりと宙に差し出しながらサビを歌うあの場面。

 

暗がりのなか、香取さんの差し出された手と顔にピンスポが当たる。

 

その照らし出された横顔見た瞬間、うわああああああああ、と。

心象風景的には眩しくて思わず後ずさりする人、ってやつ。

 

あの、思わず、ありがたやーありがたやーって拝んじゃうような、やわらかだけど圧倒的な光って、宝塚のスターさんの銀橋ソロでときどき感じるもので。

 

てか、そもそもあの曲、銀橋ソングだし。

だから、そこで銀橋的なものを感じたって、香取さんやっぱトップさんだよー!って。

 

この場面はほんと、ひれ伏さざるを得ない「スター」っぷりだったけど、ともかく全編ブラッシュアップされてて、香取さんの「ダニー」がどういう人かよくわかった。

 

蘭寿さんダニーがイメージとしてあったから、香取さんダニーがどうも沈んでいるように見えた東京公演。

 

違うわ、よく考えてみれば、香取さんダニーは、むしろ脚本に書かれてあることを忠実に再現してるからこうなるんだ。

と思ったのは、くだんの「愛した日々に偽りはない」を聴いていたとき。

 

ダニー、

「嘘にまみれ虚偽に満ちて欺きだらけ それが俺の人生 ひとつだけ真実は君との時間」

って言ってる!

 

嘘と虚偽と欺きしかない生活送ってきた人って普通暗くなるよね。

 

いや、蘭寿さんダニーの「人類皆兄弟!」な明るさは、「宝塚」的世界のなかでならまったく違和感ないし、この作品自体、ドラマを読み込みます!というよりショーの華やかさをとる性質をもってるから、そこは掘り下げすぎず、テスへの思いだけで作っていくダニーは全然ありだと思う!てか大好き!

 

でも、「ジェンヌさん」というファンタジーな体をもっていない香取さんは、リアルに作っていく以外、方法がない。そうしてこそ、「男役」でなく「男性」が演じる意味があるんだろうし。

 

だったら、それなりの修羅場くぐってムショ暮らしまで経験してるいい歳の男に、ちょっとした陰りがないほうが引っかかるな、と。

 

そうかぁ、香取さんのダニーはこういう男なんだねー、と「発見」できたことが嬉しかったです。

 

けどきっと、それがわかったのは、暗くても、ちゃんと「真実は君との時間」ってとこに説得力が生まれたからなんだろうなぁ。

 

ともかく、テスとの芝居の間合いも東京とはまーったく違う。

よく味の染みたはんぺんのような、それはそれはじんわりとふたりの関係が伝わってくるシーンになってて。

 

久々に再会して、ダニーの言うことに耳を貸さないテス。いろいろ言うけど、ついに諦めてそこを去るときのダニーの、

 

「……………わかった」

 

この、「……………」にね、もどかしさとか切なさとか、言葉では表せない「何か」がいっぱいつまってて、わーこの人、本気でテスに惚れてんだー!って、かわいくなっちゃったよー実際はとんでもねー男なのにさ。

 

あとあれね、役が染みてきたってとこでは、ダニーの思わず二度見するようなビックリ台詞に、香取さん自身が慣れてきたんじゃないかなーってw

なんだろう、「こう言えば恥ずかしくない、自然に聞こえるぞ」って台詞回しを探り当ててるというかw

 

いや、宝塚の二度見台詞に慣れた身でも、

アダムとイブの比喩はやばいって!!!ww

 

ベネディクトにキスされたテスが「先に禁断の実を食べてしまったアダムね」とか、もー、ごめんなさいーーーごめんなさいーーーイケコの乙女がごめんなさいーーーーってヅカファンのひとりとして赤面しつつ転がりまわってるから。

 

ともあれ、それら一連ののたうちまわり台詞もかなり違和感なくこなしてるし、ゼロ番に立ってジャケットに片手をかけながらフッて不敵に笑う顔も堂に入って、つまりもう総合的に素敵にかっこよかったのです!

 

 

宝塚で、ショーを演じるときの心得として、よく、「役名でなく芸名の自分をいかに出すか」という言葉が提示されます。

 

で、この作品は芝居ではあるけど、芝居のわりにショー傾向がとても強い。

裏を返せば、どんな演技力があろうと「スター」=「芸名」に力がある人が演じなければ、「ダニー・オーシャン」という役は成立しない。

 

そういう意味で、「香取慎吾」というものすごい「芸名」力がある俳優さんがダニーを演じたのは、実はドンピシャだったのかなーって。

 

オーシャンズを引き連れてゼロ番に立ち歌い踊る彼は、「ダニー・オーシャン」であり「香取慎吾」でもある。

その表裏一体、表裏の行ったり来たりを存分に楽しめました!

 

 男役じゃなく男性でも堂々たる「スター」が演じれば、宝塚作品って成立するんだなぁ。

 

そんな香取さんダニー、カーテンコールでひとしきりニコニコお話して、「夢のヴェガスから梅田の街へお帰りください」っていつものキメ台詞でお手ふりし、幕が下りる間際、

 

バチコーーーーーーン♡♡♡

 

はい、慎吾's投げキッスいただきやしたー。

 

あえなく被弾。

 

通常ならコンサートでしか発っさないような、

ギャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!

出たわ。

 

ほんと、最後はね、「スター」というより日本一「アイドル」の本領を見せられてね、ともかく参りましたっ!、って心地よく土下座して、前楽は梅芸をあとにしたのでした。